全国企業倒産状況

2024年11月の全国企業倒産841件

年間倒産1万件も視野に 11月の企業倒産 11月では3年連続で増加

 2024年11月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が841件(前年同月比4.2%増)、負債総額は1,602億2,300万円(同68.8%増)だった。
 件数は、3カ月連続で前年同月を上回り、11月では3年連続で前年を上回った。
 負債総額は、4カ月ぶりに前年同月を上回り、10月の2,529億1,300万円に次ぐ今年3番目に高水準となった。負債が膨らんだのは、負債100億円以上が2件(前年同月ゼロ)、同50億円以上100億円未満が3件(同ゼロ)発生したため。また、同5億円以上10億円未満25件(前年同月比19.0%増)、同1億円以上5億円未満178件(同26.2%増)と中堅規模が押し上げた。同1億円未満は613件(同1.7%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。構成比は3月の72.5%に次ぐ、今年2番目に低い72.8%となったが、全体の7割を超えている。
 上場会社の倒産は、東証グロース上場の日本電解(株)(茨城、負債147億6,100万円)が民事再生法の適用を申請した。2023年12月の(株)プロルート丸光(現:(株)ルートスタイル、スタンダード、会社更生法)以来、11カ月ぶりの倒産となった。

 前年の年間件数(8,690件)をすでに474件上回り、11年ぶりに年間1万件超が視野に入ってきた。
 1-11月の段階で北海道と中部を除く7地区が前年の年間件数を超えた。現ペースをたどると2年連続で全国9地区すべてで前年を上回る見込みで、倒産増の潮流は全国に広がっている。
 過剰債務の解消遅れ、物価高、人手不足、人件費上昇に加え、社会保険料の対象拡大など、企業を取り巻く環境は厳しさを増している。さらに、今後は金利上昇もジワリと収益を圧迫してくる。
 かき入れ時の年末年始だが、コロナ禍から業績回復が遅れた企業は正念場を迎えている。業績不振の息切れと売上増に伴う資金需要に対応できない企業も加わり、企業倒産は緩やかに増勢をたどる可能性が高い。

企業倒産月次推移


・形態別件数:破産が744件で、構成比は88.4%
・都道府県別件数:前年同月を上回ったのが23府県、減少19都道県、同数5府県
・負債額別件数:負債1億円未満の構成比72.8%、100億円以上は5カ月連続で発生
・業種別件数:教育,学習支援業、飲食料品製造業、道路貨物運送業などが増加
・従業員数別件数:従業員10人未満の構成比は88.9%
・「新型コロナウイルス」関連倒産は198件(同253件)で、2024年累計は2,606件
・中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)の構成比は100.0%

◇倒産データ分析:https://www.tsr-net.co.jp/news/data_analysis/index.html

産業別 10産業のうち、7産業で前年同月を上回る

 2024年11月の産業別件数は、10産業のうち、7産業で前年同月を上回った。
 最多はサービス業他の304件(前年同月比2.7%増)で、2カ月連続で前年同月を上回った。月次倒産に占める構成比は36.1%(前年同月36.6%)。
 このほか、卸売業98件(前年同月比13.9%増)が14カ月連続、情報通信業30件(同15.3%増)が8カ月連続、建設業152件(同4.8%増)と製造業99件(同4.2%増)が3カ月連続、農・林・漁・鉱業12件(同33.3%増)が2カ月ぶり、運輸業38件(同35.7%増)が6カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 一方、不動産業19件(同13.6%減)が2カ月連続、小売業87件(同11.2%減)が5カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。金融・保険業は前年同月と同件数の2件。
 農・林・漁・鉱業、建設業、製造業、卸売業、小売業、情報通信業、サービス業他の7産業は、1-11月累計で前年の年間件数を上回っている。

2024年11月 産業別倒産状況

主要産業倒産件数推移
主なサービス業他 倒産状況

主なサービス業他 倒産月次推移

地区別 9地区のうち、6地区で前年同月を上回る

 2024年11月の地区別件数は、9地区のうち、6地区で前年同月を上回った。
 四国20件(前年同月比25.0%増)が5カ月連続、近畿227件(同0.4%増)、九州77件(同13.2%増)が3カ月連続、東北43件(同38.7%増)と中部101件(同3.0%増)、北陸34件(同112.5%増)が2カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。
 一方、関東292件(同0.3%減)と中国30件(同23.0%減)が2カ月連続、北海道17件(同15.0%減)が3カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
 なお、北海道と中部を除く7地区は、1-11月累計で前年の年間件数を上回っている。

2024年11月 都道府県別倒産

※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)


当月の主な倒産

[負債額上位5社]
1.日本電解(株)/茨城県/電解銅箔製造/147億6,100万円/民事再生法
2.(株)ファーストコンサルティング/東京都/まつ毛サロン経営ほか/119億円/破産
3.原ヘルス工業(株)/東京都/家庭用温浴器修理/87億円/特別清算
4.(株)ワンフォワード/東京都/遊技機器販売、コンサルティング/72億4,100万円/特別清算
5.(株)エヌシーガイドショップ/鹿児島県/信販会社/54億円/会社更生法

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