• TSRデータインサイト

上半期の「後継者難」倒産 2番目の230件 高齢化の加速で、事業承継の支援が急務に 

2025年上半期(1-6月)の「後継者難」倒産


 2025年上半期(1-6月)の後継者不在が一因の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は、230件(前年同期比10.1%減)だった。上半期では、2年ぶりに前年同期を下回ったが、過去最多だった前年の256件に次ぐ過去2番目の高水準だった。
 要因別で、代表者などの「死亡」は103件(同20.7%減)で前年同期を下回ったが、「体調不良」が93件(同5.6%増)、「高齢」が29件(同7.4%増)と2要因は過去最多を更新した。
 代表者の高齢化が問題になるなか、早い段階での事業承継の準備や後継者の育成が重要となっている。

 「後継者難」倒産は、資本金1,000万円未満が143件(構成比62.1%)と6割を超え、形態別では破産が215件(同93.4%)と9割超を占めた。小・零細企業ほど代表者への依存が高く、代表者が健康上の問題を抱えると事業継続に大きなダメージを与えかねない。
 政府や金融機関は、後継者不在の企業への事業承継や廃業支援などに取り組んでいる。ただ、過剰債務などの課題を抱えて、本人の意思確認が最も重要なだけに、事業承継がスムーズに進まない企業も多く、「後継者難」倒産はしばらく落ち着く気配はうかがえない。

※本調査は2025年上半期(1-6月)の「人手不足」関連倒産(負債1,000万円以上、後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)のうち、「後継者難」を抽出し、分析した。


「後継者難」倒産推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

M&A総研の関わりに注目集まる資金流出トラブル ~ アドバイザリー契約と直前の解約 ~

東京商工リサーチは、M&Aトラブルの当事者であるトミス建設、マイスHD、両者の株式譲渡契約前にアドバイザリー契約を解約したM&A総合研究所(TSRコード: 697709230、千代田区)を取材した。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業、中高年の活用に活路 「早期・希望退職」は大企業の2.8%が実施

 「早期希望・退職」をこの3年間実施せず、この先1年以内の実施も検討していない企業は98.5%だった。人手不足が深刻化するなか、上場企業の「早期・希望退職」募集が増えているが、中小企業では社員活用の方法を探っているようだ。

3

  • TSRデータインサイト

【解説】秀和システムの法的整理、異変察知は「船井電機より前」

(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)への問い合せは、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の破産の前後から急増した。ところが、あるベテラン審査マンは「ERIが弾けた時からマークしていた」と耳打ちする。

4

  • TSRデータインサイト

1-6月の「訪問介護」倒産 2年連続で最多 ヘルパー不足と報酬改定で苦境が鮮明に

参議院選挙の争点の一つでもある介護業界の倒産が加速している。2025年上半期(1-6月)の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新した。

5

  • TSRデータインサイト

2023年度「赤字法人率」 過去最小の64.7% 最小は佐賀県が60.9%、四国はワースト5位に3県入る

国税庁が4月に公表した「国税庁統計法人税表」によると、2023年度の赤字法人(欠損法人)は193万650社だった。普通法人(298万2,191社)の赤字法人率は64.73%で、年度集計に変更された2007年度以降では、2022年度の64.84%を下回り、最小を更新した。

TOPへ